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2012年南米旅行 20日目(デス・ロード)

2012年3月、大学院の修士課程を卒業して、いよいよ社会に飛び立つという直前の最後の春休み、「最後のモラトリアムを満喫しよう」ということで選んだのが南米への旅でした。

私の人生でもっとも楽しかった旅の記録を、当時の興奮・感動がそのまま焼きついた、旅行中に執筆した文章をそのままに公開いたします。

楽しいことはもちろん、今となっては笑い話ともいえる失敗談まで包み隠さず書いています。

 

なお、当時の文章をそのまま公開する都合上、時制は2012年3月当時であり、かつ私も24歳と若かったため、若さが垣間見える場面は少なからずあろうかと思いますがご了承ください。

 

20日目。デス・ロードという、その名の通り悪路過ぎて死人続出の超危険な道路をマウンテンバイクで下るというアドベンチャーに挑みます。

 

***

2012年3月22日

 

「デス・ロード」

 

今日はデスロードと呼ばれる、何とも物々しい名前のつくラパス~コロイコ間を結ぶ断崖絶壁の道をマウンテンバイクで下る、恐ろしいツアー(日本人の死者が出たこともあるそうだ)に参加したい1日。

そう、「する」ではなく「したい」。

何しろ、予定が超キツキツで、昨夜ウユニ発のバスで今朝ラパスに戻ってきて、それから速攻で7時頃集合のツアーに参加する格好になるため、予約が出来ない。

予約ができないとはどういうことかというと、ウユニ~ラパス間のバスは相当の悪路で、極めて遅延の可能性が高く、予約をしておいたらそれがパーになる可能性がある。

このツアー、日本円にして1日で3,000~5,000円程度とバカ高く、遅れたら全額返ってくるならまだしもそうはいかないから、予約するのはリスクが非常に高いというわけだ。

 

かといって、当日朝飛び込みで参加できるかというと、事前に調査したツアー会社はすべてNoと言ってきたw

そんなわけで非常に望みは薄いが、やってみるしかない。

何しろ向こうも、カネを払ってくれるお客さんを求めているのだから、やれないことはないだろう。

とにかくこのデスロードツアー、日本出国前から是非やりたいと思っていながら、予定的に不可能で悲しかったツアー。

急遽ナスカ、イカを諦めたからこそ可能性が出てきたのだから、やるしかない。

何しろ「デス・ロード」。今やっておかないと、将来的には“危険すぎるため通行禁止”となってしまい、永久に通れなくなる可能性すらある。

また、この若い時期でなければ体力的にも厳しく、とにかくやるなら今しかないツアー。

 

さて、ウユニ発のバスは、通常より1時間出発時刻が早まってくれたのも追い風になった。

…のだが、結局40分くらい遅れてあまり効果の程は無かったがw

 

ともあれ、無事にデスロードツアー開始時刻より前の6時40分頃、ラパスのバスターミナルへ到着。

ガッタガッタ激しく揺れまくるバスで寝ただけで、普通の人なら疲れもあまり取れていないところだが、私は空港泊だろうが車中泊だろうが全快に回復する幸せな体質なので、翌日も余裕で1日動き回ることが可能。

というわけで、速攻でツアー会社の並ぶサガルナガ通りまで、クソ重い荷物を背負い、手に持ち、急ぐ!

 

まずは宿を確保しなければ。

前回宿泊したホテル・サガルナガへ行き、今は満杯で、あとは160ボリの部屋しか開いていない!と足許を見られる。

前回は120ボリで泊まれたはずだがどういうことだ!?と聞いても、一向に安くならないので、まあ諦めてOK。

何しろホテル探しなんていうつまらないことで手間取り(そもそも朝っぱらから入れるホテルが珍しい)、これから始まるバイクツアー探しの時間が削られて、結果的にツアーに参加できないのではたまらない。

アーリーチェックインの費用ということで折れてやろう。

旅には時に、諦めというより思い切った決断も重要なのである。

 

部屋に着いたら荷物を降ろし、必要なものをパソコンを入れている鞄にまとめ、速攻でホテルを出ていざツアー探し!!!

 

…と、早速!!!

 

South america trip 2012 20 01

▲バイク積んだ車発見!!!

 

まずは運転手に、これはコロイコ行きの1dayツアーか?と質問するとSi(=Yes)だったので、じゃあ今日飛び入りで参加出来ないかと交渉。

すると、ちょっと待ってくれと言われ、ガイドらしき兄ちゃんが来た。

再び同じことを聞くと、「OK!」とのこと!!!やったwwwww捜索1件目にて早々にツアー確保に成功wwwww

クアント・クエスタ(=いくら?)と聞くと、500ボリと言ってきた。6,000円wwwボりすぎだろwww

当然のようにマスバラート・ポルファボール(=安くして下さい)と言うと、少しニヤっとして450ボリと提示してきた。

それでも高いがな!

 

とりあえずオフィスまでついてこいと言われついていくと、ガイドの兄ちゃんが女性と話を始める。

すると、会話の途中で本来は400ボリっぽい単語が聞こえたので、おお!さらに安くなったwwwと思った。

と言っても、私がスペイン語を理解できないことをいいことに、2人の会話が終わった後再び450ボリを提示されたらむかつくので、2人の会話が終わるや否や速攻で「フォーハンドレッド?」と先制攻撃を仕掛け、その値段に固定させることに成功。

実際問題400ボリでも高い気がするが、当日参加なので仕方がない。

そして、今400ボリ持っていない、USドルでいいかと聞くと、「OK!57ドル!」という答え。

 

今はドルしかないので選択肢は無いが、これ、ボリビアーノかUSドルか、どちらで払うのが得か?

この周辺で両替するにあたって最高のレートはUS$1=Bs.6.94であり、計算してみれば分かるのだが、57ドルで払った方が若干得である。

言うまでもなく問答無用で財布からドルを取り出して金を払い、いざ出発!

いやぁ…良かった。正直、本気で探してもツアーに参加できる可能性は半分あるかどうかだと思っていただけに、実に嬉しい。

 

ラパス市内のホテルから欧米人を次々ピックアップしながら(参加者は私以外全員欧米人)、バイクを積んだミニバスは標高4,700 mのLA CUMBREへ。

スタート地点に到着したら、いよいよバイクで坂道を下ることになる。

必要な装備に着替えて…

 

South america trip 2012 20 02

▲準備完了!

 

そしてツアーが始まる。

ツアーの流れとしては、目安は6 m以上の車間距離を必ず開けて安全に留意しつつ、ガイドについていくという感じ。

順番は適当だったが、私を含め参加者6人が段々空気読んで、それぞれ決まった順番で走ることになっていった。

ちなみに私のその順序は4番目だったw

 

しかしまあ、想像以上の大迫力の大自然!!!

坂が急で、あんまりよそ見していると転倒し大怪我しそうだが、それでも見ずにはいられない素晴らしいアンデスの山々。

 

South america trip 2012 20 03

▲うおおおおおおおおおおおおお!!!こんな雄大な自然の中をマウンテンバイクで疾走する爽快感!!!

来てよかった。来れてよかった。今、間違いなく人生で最も恵まれた時間のひとつを過ごしている!!!そう感じさせる圧倒的な大自然。

 

South america trip 2012 20 04

▲第一休憩スポット。バイクへの慣れ具合で、参加者間のスピードも大きく異なるので、こんな具合にこまめにガイドが全員を停めて一旦集合する。

しかしまぁ素晴らしい山々に囲まれた場所だ。こんなところを走れるなんて!想像以上だ。

 

この木が1本も生えていない、岩盤剥き出しの山岳地帯は長くは続かず、63 km程度で終了。

63 kmと書くと長く感じるが、何しろ車も真っ青の猛スピードで下っていくため、本当に「え、もう終わり?」といった感じ。

このツアーの第一区間が終わると、8 km程度の上り坂が続く地帯に差し掛かるため、ここで一旦ミニバスにバイクを積んで、再び車で移動。

今度の第二区間はいよいよ、このツアーの目玉「デス・ロード」だ。

 

South america trip 2012 20 05

▲そして到着。当然のように舗装されておらず、バカデカイ石がゴロゴロしている上、霧(雲?)までかかって雰囲気は抜群。

毎年死者が200人以上出ているという道路は伊達ではない。(今は新道が出来ているのでそうでもないと思うが。過去は主に大型バスが、雨季のぬかるんだ道路で事故をしょっちゅう起こしていたそうだ。)

この道、何といっても狭いとか断崖絶壁だとか、そんなものより厄介なのがやはり未舗装で石がゴロゴロという点で、こんなところをマウンテンバイクで疾走したらどういうことになるかというのは説明不要だと思うが、当然のように振動でハンドルをとられてしまう。

そして、カーブも非常に曲がりにくい。というより、ハンドルを切り過ぎるとコケそうwいやー運転しにくいwww

 

South america trip 2012 20 06

▲しかしこれが…

 

South america trip 2012 20 07

▲首都とその隣町を繋ぐ道路に見えるか?www

そう、言っておくがこれはその辺の田舎町と田舎町を結ぶ、なけなしの道路などでは決してなく、一国の行政機関集まりし“首都”とその隣町を結ぶ道路なのだ。

日本で言えば、東京~埼玉間あたりだろうか。

そんな、本来であれば国の威信をかけて整備するはずの道路が、今こうして「デス・ロード」などという自虐的とも思える名称をつけてマウンテンバイクツアーの開催場所にしているのだから、つくづく狂った国である。でも大好きだそういうのはwww

 

特に2枚目の写真は恐らく、“恐怖の絶壁”と呼ばれる特に道幅の狭い300 mの区間。

恐らく、というのはそれを明確に示す看板が見つからなかったことと、基本的に全区間に渡って酷い道が続くので、どこが恐怖の絶壁か判断が難しかったためである。

 

South america trip 2012 20 08

▲そして、この苔生した、年季の入った慰霊碑。遥か昔から人がこの地で亡くなっていったことが伺える。

 

South america trip 2012 20 09

▲こんな具合に、小川を横切るというとんでもない区間がいつくかあるのも、この狂った道の特徴w

 

標高4,700 mの高地から、1,200 mの低地へ。

植物相も段々とジャングルの様相になってきて、どんどん蒸し暑くなる。

そしていよいよ、最終目的地YOLOSAに到着!!!

 

小さな村のような場所になっており、明らかにこのデスロードツアー参加者を対象にしている雰囲気。

冷たいドリンクがあるというので、他の参加者がそうしたように、私もビールを頼む。

1本20ボリと、市場価格の数倍のハイパーボッタクリ観光地価格だったが、もうそんなことはどうでもいい!

 

South america trip 2012 20 10

▲サイコーに美味いビールを飲みながら、ミニバスの運転手、ガイドの兄ちゃん、参加者の全員で記念撮影!

 

っておい!!!ミニバスの運転手、何杯ビール飲んでるんだよwwwwwwwwと突っ込みたくなったし実際突っ込んだが、どうやらもうそれは基本のようだw

デスロード区間は終わったのでまだマシだが、それでもこの国の道路を飲酒運転するとは…恐るべしw

 

ツアーを無事終え、続いては車で20分くらい移動したところにある、プールつきのレストランでビュッフェ形式のランチ。

 

South america trip 2012 20 11

▲まさにリゾート地といった感じのレストラン!

私の参加したツアー会社のみならず、このデスロードツアーはすべてここを使うようで、バイクを積んだミニバスが大量に停まっていた。

そして、他のツアー会社の参加者を見てみても、日本人どころかアジア人は私だけwwwww

こんだけ最高のツアーなのにどうして、と思うが、日本人はリスクを嫌うからきっと参加しないんだろうなぁ。或いは、最新版の地球の歩き方ではツアーが採り上げられてすらいないみたい(私は持っていないから真偽の程は不明)だから、それも影響しているのかも。残念。

 

帰りは新道で快適にラパスまで帰還。

そして、ホテルに戻る途中!!!

 

ウユニリベンジにてチャーターした車にご一緒した日本人、あつしさんが!!!おお、こんなところで再会できるとは!!!

誰のせいかは知らないが、“あつし”と言えばまず脂肪に満ち溢れた腹が思い浮かぶ私に、旅慣れした感じのイケメン旅行者の印象を植え付けた偉大な方。(ただ、帰国したらまた印象が逆戻りしてしまう気もする…)

そして何と今日、同じホテルに宿泊していることが判明www

 

話をしていくと、ボリビアーノが不足中の私に夕食をおごって下さることになって(神)、近くの凄くいい感じの雰囲気のレストランに行って食事。

 

South america trip 2012 20 12

▲隠れ家的な雰囲気を醸し出すレストラン。やっぱり、地元民ではなく主に欧米人観光客が利用していた。

そして飯も美味かった!ありがとうございました!愛知県在住のあつしさん。また名古屋でお会いしましょう!

あつしさんはこのデスロードツアーに参加したかったものの時間的に無理だったようで、いろいろ話をしておいた。

今となっては時間的に無理とはいえ、ラパスに来た初日、ある日本人に出会ってデスロードツアーの話をしたら、危険性からか全然乗り気ではなかったらしく、もしその人が乗り気だったら参加していたかもしれないとのこと。…それが今日の私であれば。悔やまれる。

 

いやぁ…充実した1日だった。

もしツアー参加が無理だったら適当にラパス市内を歩き回って土産を買い漁っていたところだろうけれども、参加出来て良かった。素晴らしい体験になった。

これからボリビアに行く方には超お勧め。ここに行かずしてボリビアを語るのはどうかと思うレベル。

 

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